• アメリカと日本の在宅ワークに違いはある?海外と日本の在宅ワーク事情を解説
公開:2024/09/20  更新:2024/09/14

アメリカと日本の在宅ワークに違いはある?海外と日本の在宅ワーク事情を解説

新型コロナウイルス感染症が世界的流行して以降、アメリカでも日本でも在宅ワークの割合が増えています。

しかし、アメリカと日本では普及率などに違いがあります。今回は、世界でもとくに在宅ワークの普及率が高いアメリカと、いまだ在宅ワークがあまり普及していない日本とを比較してみましょう。

世界の在宅ワーク事情

在宅ワーク

世界では、新型コロナウイルス感染症が流行して以来、在宅ワークを推奨する企業が増えてきています。その中でもっとも普及率が高いとされているのがアメリカで、日本は逆にかなり低いのが現状です。

中には医療や介護、建設業、工場など在宅ワークが導入できない職種もありますが、それはどの国でも同じことではないでしょうか。

しかし、在宅ワークの実情に関して、アメリカと日本では違いがあります。その根底には、アメリカと日本の働き方に関する考え方の違いがあります。在宅ワークをする前に、アメリカと日本の違いについて把握しておきましょう。

アメリカと日本の違い

アメリカは、在宅ワークの普及率が85%程度とかなり高い国です。一方で日本は、首都圏は新型コロナウイルス感染症の流行以降は50%程度ですが、地方では22%程度にとどまっています。しかし、なぜそのような違いが出てきてしまうのでしょうか。理由としては、以下の4つが挙げられます。
評価方法
環境整備
政府の後押し
日本特有の企業体質

評価方法

アメリカと日本の大きな違いは、評価方法です。仕事を評価する際に、アメリカでは個人の仕事内容が明確に定められていて、責任の所在の多くも個人になります。

そのため、業績を評価し、結果を出した分だけ報酬も上がる会社が多くあります。一方で日本の会社の多くは、出社して働いた時間分だけの給与が発生します。

仕事の評価基準がアメリカと日本では異なることから、出社が必ずしも義務ではない会社が多いアメリカではフレックスタイムでの出社や在宅ワークがしやすいといえます。

しかし、毎朝出社して、働いた時間で評価される日本の会社では、そもそも出社しないという在宅ワークは受け入れづらく、何時間働いたのかわかりにくい点も普及しない原因の一つといえるでしょう。

環境整備

アメリカと日本では、働く環境も大きく違います。アメリカでは、会社側が在宅ワークが可能なように環境整備をする場合が多くあります。たとえば、在宅ワークによるコミュニケーション不足を補うために、Web会議システムを導入している会社があります。

そのほかにも、社員同士のコミュニケーションを、できるだけ長文を使った文章を活用して行うといった会社もあります。会社側が在宅ワークがしやすい環境を整えることで、社員も安心して働けるでしょう。日本では、技術革新をためらう会社も多くあります。

とくに新しいIT技術を取り込むのは初期の導入費用や社員教育が必要なため、コスト面で断念する企業もあるでしょう。また、ICT(情報通信技術)に詳しい人がいない、理解するのに時間がかかるなどの理由で導入をためらう企業もあります。

これらのことから、日本では企業主体で在宅ワークを導入するのが難しい場合もあり、普及が進みません。特に地方の中小企業では環境整備も容易ではなく、その分地方の在宅ワークの普及率は首都圏の半分以下といった数値が出ています。

政府の後押し

アメリカでは、「テレワーク強化法」が2010年に制定され、政府が強力に在宅ワークを推進しています。また、民間企業はもとより、公務員も積極的に在宅ワークを取り入れています。

しかし、日本ではできるだけ在宅ワークを取り入れるようにと企業側に通達するのみで、とくに在宅ワークに関する法律を作るわけではなく、支援があるわけでもありません。在宅ワークに関するルールが整っているかいないかは、重要な点です。

日本特有の企業体質

日本特有の企業体質も、アメリカとの違いを発生させている理由の一つです。アメリカでは、会社は終身雇用ではなく、とにかく成果を出さなければ会社に居場所がなくなってしまいます。

逆にいえば、成果さえ出せれば高い評価を貰え、給与も上がります。出社に関してもフレックス制でよいところも少なくなく、労働時間管理の制約がない場合もあります。その点、日本ではいまだに終身雇用を前提とした雇用が多く、年功序列制度で出世する人も多くいます。

そのため、仕事の成果で評価を高めるよりは、出社してどのくらいの時間働いているのかをみせ、「長時間仕事を頑張っている」と上司にアピールする必要がある会社もあります。そのため、労働時間があいまいとなってしまう在宅ワークは、あまり普及しません。

日本の在宅ワーク事情

日本の在宅ワークは、情報通信業界での普及率が高くなっています。ただし、そのほかの業種ではあまり普及はしておらず、とくに直接人と関わることが重要となる介護や医療、建設業などではほとんど普及していません。ただし、在宅ワークを導入している企業では、生産効率が上がったと考えている人が多くいます。

アメリカの在宅ワーク事情

アメリカの在宅ワーク

アメリカでは多くの企業がテレワークを導入していて、一度は経験したことがあるという人も含めると85%程度の人が在宅ワークを経験しているという調査結果があります。また、在宅ワークをすることによって生産効率が向上したという人も多くいるという点は、日本と同じといえます。

アメリカの在宅ワークの問題点

在宅ワークが普及しているアメリカですが、全く問題がないというわけではありません。実際に、在宅ワークから通常の出社での勤務に切り替えている企業もあります。ここでは、アメリカの在宅ワークの問題点についてみていきましょう。

コミュニケーション不足

アメリカの在宅ワークの問題点は、コミュニケーション不足になってしまうことです。社員同士のコミュニケーションが不足すると、チームワークの欠如につながります。

連帯感がなくなるだけでなく、報告や連絡がうまくいかなくなり、結果として生産性の低下につながってしまう場合もあります。そのため、コミュニケーションを円滑にするために出社を義務付ける会社も出てきているのが現状です。

逆に、在宅ワークでもほかの社員と円滑にコミュニケーションを取るべくWeb会議や動画の活用を推奨している会社もあり、そういった会社であれば在宅ワークは継続できるでしょう。

方法はさまざまですが、在宅ワークをしている多くの会社がコミュニケーション不足の問題には気づいていて、何かしらの対策を行っています。

インターネット回線の速度や安定性に欠ける

日本ではインターネット環境が整っていることが多いですが、アメリカではインターネット回線の速度や安定性に欠ける場合があります。回線の安定性だけでなく、セキュリティの問題もあります。

また、通信サービスの費用が高額になる場合もあり、そういった問題を解決できないと在宅ワークの導入ができません。その点、日本ではそういった問題を訴えている会社は少なく、費用に関してはかなり安く提供されているので環境を整えやすいといえるでしょう。

そのため、インターネット回線を引くことがアメリカでは導入できない大きな理由になっていますが、日本では違い、インターネット自体を引くことには問題がない場合が多くあります。

日本の在宅ワークの問題点

問題点

アメリカと日本では、在宅ワークが導入できない理由が違ってきます。もちろん、同じ悩みを抱えている場合もありますが、全てではありません。

ここでは、日本の在宅ワークの問題点を解説します。在宅ワークに興味があるなら、日本の在宅ワークが抱える問題点を把握しておきましょう。

ルールが整っていない

日本の在宅ワークの問題点は、ルールが整っていないという点です。たとえば、アメリカでは連邦政府で法律が制定されていることで、全省庁でテレワークに関するポリシー制定がされ、テレワークマネジャーの任命が義務付けられるなどといったルールがあります。

しかし、日本ではそういった在宅ワークに関するルールが制定されていません。政府はあくまでも各企業の努力に期待するといった程度で、これといった制度を定めていないからです。

そのため、明確なルールがなく、労働時間も不明瞭な点が問題となり、在宅ワークの導入に至っていない企業が多くあります。

つまり、日本の企業体制では、就業時間があいまいではいけないといった会社も多くあり、上司が出勤時間や働いている時間、退勤時間がしっかりと把握できない点も、導入を阻んでいる要因であるといえます。

ICT(情報通信技術)への抵抗感

アメリカでは、ICT(情報通信技術)といった最新技術への抵抗感があまりありません。しかし、日本では電子契約の導入やAIを活用したDXの推進といった技術革新に抵抗感のある企業が多くあります。

また、そういった最新技術を使いこなせる自信のない管理職も少なくなく、そういった点が在宅ワークができる環境づくりを阻んでいる問題点の一つといえるでしょう。

もちろん、アメリカでもコストやセキュリティ問題で導入できない企業はありますが、日本ではさらに、使いこなせる人材がいない、理解に時間がかかるなどといった点が問題です。

これらの問題点を解決することによって、在宅ワークができる環境を整えることができるようになります。

まとめ

本記事では、アメリカと日本の在宅ワークの違いについて解説しました。アメリカでは、在宅ワークの導入が85%程度と、かなり普及していますが、日本では平均30%程度にとどまっています。

しかし、在宅ワークをしている多くの人は、生産性が変わらない、もしくは向上していると感じている人が多くいます。

毎日出社することがいけないわけでなく、フレックスタイム制度や在宅ワークなど、さまざまな働き方があると知っておくことが重要です。

自分の働きやすい環境で仕事をすることでモチベーションがアップし、プライベートも仕事も充実させることによってより生産性を上げることができるでしょう。

これまで以上に効率的に働くためにも、時間や場所を選ばない働き方が重要になってきます。海外の良い部分を取り入れて、日本での働き方改革を進めていきましょう。

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