• 在宅ワーカーの通信費・電気代で経費として認められるもの
公開:2021/07/27  更新:2021/07/12

在宅ワーカーの通信費・電気代で経費として認められるもの

在宅ワークで得られる報酬は、原則確定申告の対象となりますが、フリーランスであれば事業所得、副業ワーカーであれば雑所得となります。ただいずれにしろ、報酬を得るのにかかった必要経費を差し引いて所得計算が可能です。

在宅ワークの必要経費はパソコンにかかる諸費用がまず考えられ、特に電気代・インターネット通信費は定期的にかかります。しかし在宅ワークと関係ない生活上の用途も混ざってしまいますので、在宅ワークを行うのにかかった分だけ必要経費にできます。

この計算方法は家事按分とも呼ばれますが、具体的にどう計算するのか周知されていません。ただ大変参考になる計算式を2021年になって国税庁が公表しています。

在宅勤務費用の電気代・通信費の考え方

在宅勤務費用としての電気代・通信費の計算式を、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf」で示しています。
なおこれは本来、サラリーマンの在宅勤務費用相当額に関する計算式を示したものであり、この費用分を会社側がそのまま支給した場合は、サラリーマンの課税給与所得にならないとしています。

しかし在宅勤務費用相当額の計算としている以上、サラリーマンでない在宅ワーカーの必要経費計算にも応用が可能といえます。家事按分はこんな形で割合をかけるという考え方を学ぶことにも役立ちます。

計算式とかける割合の意味
在宅勤務費用相当額の具体的な計算式は、下記のとおりです。
1ヵ月の電気代・通信費×(業務に使用した部屋の床面積÷自宅床面積)×(在宅勤務日数÷1ヵ月の日数)×1/2
※床面積割合(業務に使用した部屋の床面積÷自宅床面積)は電気代のみかける
床面積割合は、自宅の間取り図などを見て計算します。
1カ月の日数は月によって28日・30日・31日と変わり、そのうち在宅勤務日数(平日を丸々在宅勤務に充てているのであれば20日前後)だけ業務に充てていると考えています。
また1/2は24時間のうち睡眠時間は8時間として、睡眠時間を除いた16時間のうち1/2の8時間を在宅勤務に費やしているという想定でかけています。このため、起きている時間のうち勤務時間の割合と考えられます。

計算方法は変えても可

ただし、より精緻な方法で在宅勤務費用相当額を算出したものでも差し支えないとしています。もっとも、床面積割合はこれ以上精緻にすると複雑になると考えられます。

床面積割合以外にかけている(在宅勤務日数÷1ヵ月の日数)×1/2に関しては、在宅ワーカー用のアレンジを考えていきます。

在宅勤務日数と勤務時間の割合をアレンジする

確定申告を行う上では、1月1日~12月31日の1年間で発生する収入や必要経費を計算するので、1ヵ月ではなく年間ベースで計算します。

また日によって在宅ワークの時間数が変わるような方は、(在宅勤務日数÷1ヵ月の日数)のような日数ベースの計算はなじまないと考えられます。

そこで(在宅勤務日数÷1ヵ月の日数)×1/2は、

(1月1日~12月31日の総勤務時間)÷(24時間×365日のうち睡眠時間を除いた総時間数)

と時間ベースにおきかえることが考えられます。

例えば
・1月1日~12月31日の総勤務時間:2,400時間(月平均200時間)
・24時間×365日のうち睡眠時間を除いた総時間数:6,000時間(1日平均7時間強の睡眠を想定)

であれば0.4となり、通信費には実際かかった費用にこの0.4をかけたものを必要経費とできます。電気代はさらに床面積割合をかけます。

執筆者:石谷 彰彦
1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、行政非常勤職員や個人投資家としての経験も持つ。FPとして、確定申告・個人所得税・社会保障関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。

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