• アメリカの在宅ワーク事情とは?テレワーク普及率や現状を紹介
公開:2022/02/14  更新:2022/02/10

アメリカの在宅ワーク事情とは?テレワーク普及率や現状を紹介

アメリカでも大きな話題となったのがリモートワーク。新型コロナウイルス感染症の影響で、アメリカ国内でも在宅ワークに関わる論争が大きく取り上げられました。ここでは、アメリカの在宅ワーク事情を普及率などを含めて詳しく紹介します。

アメリカにおける在宅ワーク事情とは?

#在宅ワークの仕組みがあるアメリカ
アメリカは、2010年に「Telework Enhancement Act of 2010」(2010年のテレワーク強化法)が設定されてから、連邦政府全省にテレワークに関するポリシーを制定することを義務付けました。アメリカ国内は公共交通機関よりも、自家用車での通勤が多く、渋滞や環境問題の悪化、オフィスの維持コストなど数々の問題があり、国が在宅ワークを推奨する背景があったのです。連邦政府では、2011年には7.8%のテレワーク実施率がありましたが、従業員のワークライフバランスやコスト削減のため、民間企業にも在宅ワークの流れが進みます。大手通信会社のAT&Tなど積極的にテレワークを実施し、全世界でもアメリカは高い在宅ワーク率となっています。

#高い在宅ワーク普及率
アメリカの在宅ワーク普及率は85%以上と言われており、日本の19.1%に対してとても高い普及率が特徴です。アメリカでは、特定の仕事を労働者が行うことを前提に採用するジョブ型雇用が一般的で、自分が担当する仕事が明確で在宅ワークがしやすいことが、在宅ワーク率を押し上げている要因です。病院などのエッセンシャルワーカー以外の仕事であれば、在宅でできる職種が多く、多くの企業が在宅勤務を採用しています。日本は入社後に様々な部署で仕事をすることが多く、在宅ワークに適しているのは、IT関連かエンジニアなどに限られるでしょう。アメリカでは成果型のため、在宅ワークでも成果を発揮しやすい特徴があります。

#新型コロナウイルスの流行状況によって左右されるアメリカ国内
従来から在宅ワークの仕組みがあったアメリカですが、新型コロナウイルス感染症の急激な広がりと共に、「Work From Home」(家から仕事をする)を業種を問わず多くの企業が導入しました。2020年4月の段階では在宅ワークを採用し、9月からはオフィス再開を準備していた企業でも、デルタ株の流行でオフィス再開が再延期となるなど、流行状況によって延期せざるを得ない実態があります。アメリカ国内でワクチンを1回以上接種した人は75%を超えると、リモートを続ける企業とオフィス回帰を推奨する企業の二極化が進みますが、オミクロン株の新たな流行で、引き続き在宅ワークを選択した企業も増えました。人口も多く、感染症の流行の度合いが日本よりも大きいアメリカは、在宅ワークが定着化し、幅広い企業で採用されています。

在宅ワークを取り入れるアメリカ国内の企業

#アメリカ国内の勤務スタイル
アメリカ国内の企業における仕事は、完全在宅ワーク、在宅ワークと出社の組み合わせ、出社型がありますが、アメリカで最も多いのが在宅ワークと出社を組み合わせる、ハイブリッド型。在宅ワークを週に1、2度行ったり、社員のニーズに合わせて在宅ワークが選べるシステムです。例えば、全世界で14万人の社員がいるグーグルは、在宅勤務をしていた社員もワクチン接種を条件にオフィス勤務に復帰のほか、在宅ワークも選択できます。ハイブリッド型を選択している企業は、グーグルのほか、マイクロソフト、アマゾン、アドビ、セールスフォースなど。完全在宅ワークを継続しているのはSpotifyですが、本人の意思で、オフィスや働く都市や国を選べます。一方で、金融業ではオフィスに50%以上が復帰しており、IT業界は特に在宅ワークがしやすい環境です。

#在宅ワークができるかどうかで転職先を選ぶ若者
オフィスへの出社にワクチン接種を義務付ける企業が増えており、ワクチン接種をしたくない人や在宅ワークを希望する人にとっては出社を義務付けていない企業への転職が増加しました。逆に若い世代では、社会経験が全くなくオフィスに出社せずにキャリアを積むことに不安を感じることも多く、在宅と出社が状況に応じて選べるハイブリッド型への支持が集まっています。スキルがある有能な社員は、働き方を自由に選びたい傾向にあり、働き方の選択肢が多い企業ほど有能な人材を確保することができています。

アメリカ国内での在宅ワークのメリットとデメリット

アメリカ国内での在宅ワークには、デメリットもあります。IBMやアメリカYahoo!は、在宅ワークを制限して、基本的に出社するように促しています。よりコミュニケーションが必要な部署では、在宅ワークによるコミュニケーション不足でチームの連携が停滞してしまい、成果をあげることができなくなっている企業もあります。チームで行う仕事に関して、一人だけ在宅勤務では、評価や昇進にマイナスになることもあり、会社の方針や仕事によって在宅ワークがデメリットになります。デスクワークの仕事で、在宅ワークを選択すると、運動不足になってしまうアメリカ人が多くいました。アメリカでは、退勤管理が厳しくないものの、成果を求められるため、自宅にいるほうが長時間労働を助長してしまうケースもあります。ジムなどが軒並みクローズしてしまい、運動不足で、仕事を続けて体調が優れないと訴える在宅ワーカーが増えました。在宅ワークを選ぶ時には、オンオフの切り替えを行い、健康管理をしっかりすることが重要です。仕事中は、会社勤務と同じように、メンバーと常にコミュニケーションが取れるようにする必要があります。

しかしながら、アメリカ国内で在宅ワークが増加している背景には、メリットが大きいことが起因しています。アメリカ国内では感染症だけではなく、ハリケーン、雪など自然災害がよく起こります。自家用車で何時間もかけて通勤をするケースも多く、在宅ワークにすることで、通勤時間の負担やガソリンなどの経済的コストを減らすことが可能です。シリコンバレーには数多くのIT企業が本社を構えていますが、サンフランシスコ近辺の家賃は高額で、家賃が1ヶ月に50万円以上することは当たり前。会社から離れた家賃の安い郊外に住んで在宅ワークをすれば、生活費を抑えて余裕を持った暮らしができます。小さい子供を抱えている人は、家に子供だけを置いて仕事に出かけたらアメリカでは犯罪に該当してしまうので、家を離れられません。子育て中の人やプライベートを充実させたい人が在宅ワークを選び、仕事と育児を両立させています。

カテゴリ
新着
同じカテゴリの記事