• 在宅ワークにジョブ型が最適と言われる理由とは?!新しい人事制度を築こう!
公開:2022/10/10  更新:2022/10/06

在宅ワークにジョブ型が最適と言われる理由とは?!新しい人事制度を築こう!

働き方は多様化し、在宅ワークに大きな注目が集まるようになりました。しかし一方で、在宅ワーカーの活用方法で悩みを抱えている企業も少なくありません。ここでは、ジョブ型と呼ばれる制度や、ジョブ型が在宅ワークに最適と言われる理由などについて解説していきます。

ジョブ型制度とは何か

新しい人事制度

まず、ジョブ型の概要や、メンバーシップ型との違いについて説明していきます。

#ジョブ型の概要
ジョブ型とは、アメリカで一般的となっている雇用制度のことを指します。ドイツなど一部の欧州諸国でも浸透している形態であり、日本でも導入されはじめている制度です。必要な職務に合わせ、それぞれに最適な人材を雇っていくのです。ジョブ型を導入すると、それぞれの分野に長けているスペシャリストを集めることができます。わざわざ、入社した社員を自社のカラーに合うように教育していくようなことはしません。そのため、求人には、必要とされるスキルや職務範囲、評価基準など詳細まで書かれています。これは、ジョブディスクリプション(職務記述書)とも呼ばれているもので、これに基づいて採用を行うことで、採用後にミスマッチが起こりにくくなります。勤務地や報酬、ポスト、そして評価方法に至るまで、企業側と人材とのマッチングを的確に行っていくのです。

ジョブ型で採用された人材の評価は、成果で判断されます。評価基準が明確であることも、特徴の一つでしょう。契約時に定められていた業務内容および目標への達成度が、そのままその人の成果となるのです。評価基準が分かりやすいため、社員のモチベーション維持にも役立ちます。的確な評価をしやすいことは、企業にとってもメリットと言えるでしょう。

#メンバーシップ型との違い
メンバーシップ型は、日本でこれまで一般的だった雇用制度です。新卒で一括採用し、その後、それぞれの能力や適性に合わせて最適な職務に振り分けていくのです。勤務時間や勤務地などは、入社してから決まるというケースも少なくありません。また、メンバーシップ型を説明する際に、年功序列型、終身雇用型という言葉を使うこともあります。年功序列型は、その人の能力に関係なく、勤続年数が長くなればなるほど賃金が上がっていく特徴を持っています。終身雇用制は、一旦入社したら、その後定年までその企業で働き続けられるという制度です。メンバーシップ型の場合、所属意識が高まり、一体感を増しやすくなるでしょう。長い目で人材育成ができるといったメリットもあります。ただし、働き方の多様化や少子化などが問題となっている中、今後、この制度を維持することは難しくなっていくだろうとも言われています。

一方のジョブ型は、勤続年数ではなく、実績や成果によって評価される、成果主義だと説明することができます。ジョブ型では、契約内容以外の職務をする必要はなく、それぞれが出した成果に基づいて、報酬が支払われていきます。メンバーシップ型のように、労働時間やプロセスが重視されることはありません。メンバーシップ型に比べて、キャリアアップや転職がしやすいという点も、違いとして挙げられるでしょう。日本経済団体連合会は、2020年にSociety5.0時代にマッチする雇用形態としてジョブ型を掲げるなど、メンバーシップ型からジョブ型への移行を推奨しています。日本でも、今後ますますジョブ型が普及していくことが推測されます。

企業として専門性を高めやすいことも、メンバーシップ型との違いとして挙げられます。人材育成に重点を置いているメンバーシップ型とは異なり、ジョブ型ではジョブディスクリプションにマッチした、即戦力となる人材が求められます。企業側としては、与えられた役割や職務を遂行できる人材の確保を重要視しているからです。ビジネスの世界は変化が激しく、競争力や対応力などが求められます。そのためにも、企業としての専門性を高め、競争力を強化する必要があります。その点においても、ジョブ型という雇用制度は大きな注目を集めていると言えるでしょう。

在宅ワークの特徴とジョブ型が最適な理由

#在宅ワークとは
在宅ワークとは、その名の通り、自宅で仕事を行う勤務形態のことを指しています。基本的に、オフィスに出勤することはありません。在宅ワークは、企業側だけでなく、働く側にもメリットがある働き方です。まず、企業側には、通勤手当や光熱費などのコストを削減できるというメリットが挙げられるでしょう。在宅ワーカーにとっては、通勤時間がなくなるため、時間を有効活用できるようになります。通勤ラッシュのストレスからも解放されるでしょう。また、一人で仕事に集中できるため、業務の効率アップや、生産性の向上にもつなげやすくなります。一人一人の生産性が上がれば、当然企業としての生産性も向上していくでしょう。さらに、在宅ワークは企業としてのイメージアップにも、一役買ってくれます。働き方の多様性が求められる中、柔軟な働き方ができる在宅ワークは、ワークライフバランスを求める人たちに対して、大きなアピールポイントととなります。育児や介護、家事などと両立させやすい働き方とも言えるでしょう。

#在宅ワークにジョブ型が最適な理由
ジョブ型は一人一人の職務が明確になっているため、在宅ワークに向いていると言えます。在宅ワークが普及していくにつれ、同時に、コミュニケーションの難しさがデメリットとして挙げられるようにもなりました。それぞれの業務範囲が明確に分けられていない場合や、密なコミュニケーションが必要な場合は、在宅ワークが難しくなるケースが多いです。かつて、上司や先輩が、新入社員に指示を出したり、教育したりしながら成長していくといった光景は、日本の企業でよく見られていました。しかし、そのスタイルでは、在宅ワークのような働き方はうまく浸透させることができません。一方、それぞれの業務範囲が明確に切り分けられている場合は、在宅ワークに向いています。ジョブ型では、あらかじめ職務の内容が明らかにされているため、社員はそれぞれ自律的に仕事を進めていけるでしょう。つまり、在宅ワークに適している制度だと言えます。

二つ目の理由としては、成果重視のため適正な評価がしやすいという点が考えられます。ジョブ型では、結果がすべてです。在宅ワークの場合、仕事をしている様子が観察できないため、勤務態度や労働時間の把握は難しくなってしまいます。これらが評価の基準に含まれている場合は、適正な判断がしにくくなるでしょう。しかし、ジョブ型であれば、勤務態度や労働時間に関しては問わず、成果のみで評価することが可能になります。

三つ目には、ITに強い人材を確保しやすいという理由が考えられます。2018年に経済産業省が発表したレポートをきっかけに、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が、多くの企業から注目されるようになりました。DXとは、デジタルテクノロジーを活用しながら、様々なニーズを元に、製品やサービス、ビジネスモデル、そして組織やプロセスなどの変革を行い、競争上の優位性を確立していくことを指しています。自社でDXを推進していく上で欠かせないのが、AIやIoTなど、専門性の高い分野のプロフェッショナルです。ビッグデータ解析やVRなど、その範囲は多岐にわたります。そして、これらの先端技術を活用していく上で、データサイエンティストやプログラマー、ITエンジニアなど、多種多様なスペシャリストの活躍が必要不可欠です。しかし一方で、このようなスペシャリストは、国内だけでなく、世界的に需要の高まりを見せています。そのため、IT業界では人手不足が深刻な問題として掲げられていることも事実です。優秀な人材を確保するためには、メンバーシップ型ではなくジョブ型に転換するなど、新たな雇用制度を取り入れる方が望ましいでしょう。海外からも優秀な人材を集めやすくなります。

ジョブ型を上手に取り入れるコツ

メンバーシップ型がベースとなっている企業の場合、単純にジョブ型を導入しただけでは、そのメリットを活かしきることはできません。環境や制度、ルールなどを見直し、必要に応じて整備していく必要があるのです。

#新しい給与体系を導入する
ジョブ型と、従来のメンバーシップ型とでは給与体系が異なります。メンバーシップ型の場合、仕事の成果はもちろんですが、その他に勤続年数や勤務態度、残業時間などが加味されるケースも少なくないからです。ジョブ型の場合は、高い成果を出した場合や、難易度の高い仕事をした場合に、報酬が高くなります。ジョブ型で入社した社員が、「自分の能力や成果に見合った報酬を受け取れた」と感じられるよう、給与体系の再構築を行いましょう。社員のモチベーションアップはもちろん、結果的に企業として生産性を上げることにもつながります。

#評価制度を見直す
正しい給与体系を築く上で、評価制度の見直しも避けて通れません。在宅ワークの場合、企業は勤務態度をチェックすることはできません。勤務時間の管理も、オフィスで働く場合に比べると管理しにくくなるでしょう。ジョブ型で在宅ワークを導入する場合は、評価基準から勤務態度や労働時間などを省く必要があります。それぞれの社員が成し遂げた成果のみを評価の対象とすることで、適正な評価が行えるようになるでしょう。また、人によって評価方法がブレなくなるため、公平な評価にもつながります。

#在宅ワークしやすい環境をつくる
企業が在宅ワークを導入するためには、環境を整備することも大切です。社外からでも、業務システムや社内データにアクセスできるよう、クラウド化する必要があります。業務プロセスも、必要に応じて見直していくようにしましょう。もちろん、情報漏洩対策も欠かせません。セキュリティ対策には十分取り組んでおくようにしましょう。環境を整備するためには、大きな労力とコストが必要になるかもしれません。しかし、環境を整えることで、ジョブ型の在宅ワーカーを活用できるようになるでしょう。

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