• インボイス制度はチャンスである!登録申請すれば信用力が上がる!法人化の必要性の低下も期待できる!
公開:2023/09/20  更新:2023/09/16

インボイス制度はチャンスである!登録申請すれば信用力が上がる!法人化の必要性の低下も期待できる!

インボイス制度について、適格請求書発行事業者になるべきかどうかで迷うフリーランスは少なくないでしょう。適格請求書発行事業者になれば、消費税の支払いなど負担が増えますが、すぐに登録申請すればフリーランスにとって得であると理解した方がいいです。今回の記事では、フリーランスがインボイス制度が導入されたらすぐ適格請求書発行事業者の登録申請をした方がいい理由を解説します。

法人化しなくても信用力が上がるから仕事が増える

信用力が上がる

一般的にフリーランスが個人事業主でいるよりも、法人となった方が社会的な信用が上がります。それはなぜかと言うと、法人化には法人登記が必要であるためです。登記されていれば、取引先は申請書に記載された社名、本社の所在地、代表者の氏名と住所などの重要な情報をいつでも確認できます。どこで、どのような事業を、誰が責任者となってやっているのかが明らかであれば、トラブルが発生したときにフリーランスが連絡を絶って責任逃れをすることが難しくなります。

また、法人化をしていれば、事業継承しやすくなるので長期的に事業の継続が可能です。仕事を依頼する企業にとって、法人化しているフリーランスの方が将来に対する不安が少ないということが言えます。そのように法人化することで将来に対する不安が少なくなれば、金融機関も融資をしやすくなり多額の資金を事業に使えるようになるでしょう。事業資金が増えれば、設備や人を増やしたり、新事業を展開したりできるので、成長できる可能性が高まります。以上のようなことから法人化によってフリーランスの信用が上がることが理解できるでしょう。

法人化による信用力の向上を踏まえると、フリーランスはなるべく法人化した方が良いと言えます。しかしながら、インボイス制度が始まれば、その状況は変わり法人化の必要性は低下してくるでしょう。適格請求書発行事業者になることで法人化と同様に信用が向上するので、わざわざ法人化をしなくても良いという理屈です。適格請求書発行事業者になるためには、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出しなければいけません。登録申請書には、申請者の情報、事務所の所在地、名称、納税地などのフリーランスにとって重要な情報を記載します。

『国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト』では、登録番号から登録を済ませたフリーランスを検索できます。その検索結果を見ることで、取引先は仕事を依頼したいフリーランスが適格請求書発行事業者なのかを確認可能です。法人登記と同様に、公的な機関への届け出をしているということがフリーランスの信用性を上げる効果をもたらします。さらに言えば、登録をしないとインボイスを発行できないので、取引先は仕入税額控除を受けられないという点も重要です。仕入税額控除を受けられるフリーランスと仕入税額控除を受けられないフリーランスを取引先が比較した場合、自社に不利益をもたらす仕入税額控除を受けられないフリーランスへの信頼は低下するでしょう。

なお、『国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト』で、本名や自宅の住所を他人に知られるのではないかという不安が広まっています。サイトが始まったときには、そういったこともありましたが、芸能人や作家などの氏名・住所が特定されるということから見直しが行われました。氏名は公表されてしまいますが、住所は任意となっています。住所の不正利用などを心配するのであれば、非公表にしておけば安心です。

上記のような理由で、フリーランスの信用が上がれば、競争相手である他のフリーランスよりも選ばれやすくなります。今まで付き合いのあった取引相手に加えて、新規で取引をしたいという企業もでてくるでしょう。適格請求書発行事業者となり消費税を支払うことになっても、仕事が増えることで結果的に売上を増やすことは可能です。

競争に打ち勝ち仕事を増やせる

ビジネスチャンス

#無申告のフリーランスに勝てる
フリーランスは、一定以上の売上がなければ消費税の確定申告をする必要がありません。申告をしているフリーランスと無申告のフリーランスが同じ市場で競争したとき、無申告のフリーランスの方が消費税の負担がない分だけ報酬を引き下げることができ、取引先から選ばれやすくなります。売上が少ないのであれば、それほど多くの仕事を受注できないので無視できると思うでしょう。しかしながら、無申告のフリーランスの数は少数ではありません。

無申告のフリーランスが大勢いる背景には、日本経済の低迷や働き方改革などの影響があります。本業の稼ぎが少ない人、副業でスキルアップしたい人、子育てをしながら仕事をして家計を支えたい人など、さまざまな事情を抱えた人がフリーランスになろうとします。昔はフリーランスという仕事に抵抗を感じる人もいましたが、現代はそうした価値観は薄れつつありますし、副業を推奨する企業も増えているので気軽に挑戦できます。

そうしてフリーランスになった人の稼ぎですが、本業として取り組めば会社員の給与以上になることもあるでしょう。しかしながら、本業や子育てのスキマ時間に仕事をしている人は月に1万円~数万円程度の稼ぎしかないことが大半です。年収にしても、10万円~数十万円程度にしかなりません。稼ぎが少なければ消費税の確定申告が不要なので、必然的に無申告のフリーランスが大量に生まれます。

インボイス制度が始まると、売上が少ない事業者も適格請求書発行事業者になることが推奨され、消費税を申告しない事業者は取引先が仕入税額控除を受けられないということで選択肢から外されるようになります。もし、そうした状況の変化に気が付かず、適格請求書発行事業者となることを躊躇してしまえば、フリーランスとしてスタートラインに立つことができなくなり仕事が減ってしまいます。

無申告のフリーランスは、適格請求書発行事業者になったとしても状況は好転しません。消費税を負担しなければならないので、安く仕事を受けることができなくなり今までよりも仕事量が減ります。仕事を獲得できたとしても、報酬から消費税が差し引かれるので手取りも減るでしょう。ただでさえ、売上が少ないのに消費税の支払いで手取りが減れば、フリーランスとして働くメリットがなくなります。手間がかかって実入りの少ないフリーランスを続けるよりも廃業した方が良いと考える人が続出し、市場から無申告のフリーランスがいなくなります。適格請求書発行事業者だけが市場に残れば、純粋にスキルや実績を基準として選んでもらえる公平な競争を期待できます。

#適格請求書発行事業者の登録申請を躊躇しているフリーランスに勝てる
インボイス制度は、事業者だけでなく税の専門家である税理士も反対意見を述べる人がいます。そうした状況で、適格請求書発行事業者になるべきかどうかを迷い、当分の間は様子見をするフリーランスも少なくありません。それも1つの選択肢ではありますが、先んじて適格請求書発行事業者になっておけば仕事が増える可能性が高まります。適格請求書発行事業者になるかどうかを決めかねている事業者は、これまで付き合いのあった企業からも取引先の候補から外されてしまうでしょう。競争相手が減れば、その分だけ自分が選ばれる可能性が高くなります。

特定のフリーランスが抱え込んでいる仕事は、報酬額が多い、長期にわたって安定した仕事の依頼がある、等の魅力を持っていることが多いです。普通ならばフリーランスが失敗したり死亡したりということがない限りは、他のフリーランスが参入できる余地がないでしょう。インボイス制度は、社会全体に影響を及ぼすもので、長く取引をしてきた関係でも例外ではなく取引が打ち切られる可能性が高いです。これは、特定のフリーランスの牙城を崩す滅多にないチャンスと言えます。もし、インボイス制度導入直後の隙を突くことができなければ、適格請求書発行事業者になった他のフリーランスが、代わりに魅力的な仕事を奪ってしまうでしょう。仕事を奪われた後では、企業とフリーランスの間に入り込むことは困難です。

インボイス制度の導入から時間が経過するほど、適格請求書発行事業者である有利性が少なくなっていきます。フリーランスとして活動するために、適格請求書発行事業者にならなければいけないことが常識となれば、既存のフリーランスも新規のフリーランスも適格請求書発行事業者になってしまうでしょう。インボイス制度のような大変革は、いつ起きるのかわかりません。起きたとしても数十年後ということもあります。そういったことを考えると、このチャンスを逃す手はありません。

#インボイス制度によりもぐりのフリーランスがいなくなる
適正な活動をしているフリーランスにとって、もぐりの存在は厄介な問題です。もぐりの事業者は、一定以上の売上を得ていても消費税の支払いをしていません。法に従い売り上げに応じた消費税を支払っているフリーランスが、もぐりのフリーランスとの競争が不利になるということで、それを是正することがインボイス制度導入の目的の一つです。もぐりのフリーランスは、消費税を払いたくないので適格請求書発行事業者になろうとはしません。適格請求書発行事業者にならなければ、企業が仕事を依頼することはなくなり、法を遵守して納税し適格請求書発行事業者になっているフリーランスが仕事を獲得しやすくなるでしょう。

もぐりのフリーランスが適格請求書発行事業者になり、消費税を払わずに済むように不正を働こうとしても、インボイス制度が導入されていれば発覚します。インボイス制度では、売り手から買い手に対して、登録番号、個々の商品毎の適用税率、消費税額を記載した適格請求書(インボイス)を発行することになっています。従来の請求書では税率8%の商品が混ざっていたのに一律税率10%で計上して差額の2%を得る不正が起きる可能性がありましたが、インボイス制度の適格請求書では同じことはできません。所得税を正しく支払わなければいけないとなれば、もぐりのフリーランスではいられなくなります。

インボイス制度導入により市場からもぐりのフリーランスがいなくなり、適正なフリーランスだけが残されます。これまで、もぐりのフリーランスに奪われていた仕事が他のフリーランスに回ってくるでしょう。そのときに、適格請求書発行事業者でないと、企業から取引相手とみなされずに仕事を獲得できなくなります。仕事を増やしたいのであれば、早期に適格請求書発行事業者の登録申請を済ませておくことが最善です。

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