• フリーランスで働くなら開業届と青色申告承認申請書を出すべき?青色申告のメリットも解説
公開:2022/02/10  更新:2022/02/07

フリーランスで働くなら開業届と青色申告承認申請書を出すべき?青色申告のメリットも解説

フリーランスとして働く場合は、開業届と青色申告の手続きをしておくのがおすすめです。とはいえ、必要性や手続きの方法がよくわからず、出すべきか迷っている人もいるのではないでしょうか。そこで、この記事では、開業届と青色申告の概要や手続きしておくメリット・デメリットなどについて解説します。

開業届とは

在宅ワークで働く場合、開業届の提出は不要ではないかと考えているフリーランスの人も多いのではないでしょうか。実は、開業届の届出は所得税法により義務付けられているものの、出さなくても罰則はありません。とはいえ、義務でもあり、開業届を出すことで得られるメリットもあるため、出すべきでしょう。ここでは、そもそも開業届とはどのようなものか、どのようなメリット・デメリットがあるかなどについて解説します。

#開業届とは
開業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届書」といい、事業所や事務所を開設したり事業を始めたりしたときに税務署に提出する書類です。事務所の移転や廃止をした際にも提出します。開業届には、本人の氏名や生年月日、個人番号などの個人情報のほか、職業や開業日(廃業日)などを記載します。原則として事業開始から1カ月以内に提出することとされていますが、実際には1カ月より遅くなっても特にペナルティはありません。

#提出の方法
開業届の用紙は、最寄りの税務署で受け取るか国税庁のWebサイトからダウンロードすることで入手できます。用紙を入手したら、必要事項をすべて記入しましょう。なお、「屋号」が決まっていないときは記入しなくても問題ありません。必要事項が記載できたら、最寄りの税務署に提出します。このとき、本人確認のためにマイナンバーがわかる書類も忘れず持参しましょう。なお、開業届は郵送による提出も可能です。その際は、届出用紙のほかに「マイナンバーがわかる書類のコピー」と「必要な切手を貼って自分の住所と氏名を記入した返信用封筒」を同封しましょう。返信用封筒を同封するのは、あとで受付印が押された開業届の控えが返送されるためです。

#開業届を提出するメリット
開業届を出す大きなメリットとして挙げられるのが、確定申告の際に「青色申告ができる」点です。あとで詳しく解説しますが、青色申告をすると、税金面で優遇が受けられます。青色申告する場合は事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があり、開業届と同時に出すことが一般的です。開業届を出していない場合は、青色申告承認申請書のみ提出しても受け付けてもらえません。

このほか、開業届の控えがあれば、本人の名前ではなく屋号で銀行口座を開設することも可能です。また、子どもを保育園に入れる際などに就労証明書として使用できます。

#開業届を提出するデメリット
会社員の配偶者や親の扶養に入っている人が開業届を出すと、加盟している健康保険組合によっては扶養から外されることがあります。これが、開業届を出すことで生じる一番のデメリットでしょう。扶養から外されれば、自分で国民健康保険に加入して保険料を負担しなければなりません。ただし、扶養の要件は健康保険組合によってさまざまです。開業届を出したからといって必ず扶養から外れるわけではありません。加盟している健康保険組合に確認しておくと良いでしょう。

青色申告とは

フリーランスとして働いた収入から経費などを差し引き、残った所得が48万円を超える場合は、翌年の2月中旬~3月中旬に確定申告することが義務付けられています。確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、メリットがあるのは後者です。ここでは、青色申告と白色申告の違いや、青色申告することで得られるメリットなどについて解説します。

#白色申告と青色申告の違い
白色申告も青色申告も、確定申告する際の方法です。簡単にいうと、白色申告は事前申請が不要で、家計簿のような単式簿記で良く、提出する書類も確定申告書Bと収支内訳書のみと多くありません。そのため、あまり知識がない人でも、それほど手間をかけずに確定申告できます。一方、青色申告は事前に申請したうえで複式簿記による帳簿付けをしなければならず、面倒です。提出する書類も、確定申告書Bのほかに貸借対照表、損益計算書などを作成しなければなりません。

青色申告するためには、確定申告する年の3月15日までに青色申告承認申請書と開業届とを税務署に出す必要があります。たとえば、2021年1月から12月までに得た事業収入は、2022年2月16日から3月15日の間に確定申告する必要があります。この場合、青色申告したければ、2021年3月15日までに青色申告承認申請書を提出しておく必要があるのです。それよりあとに提出した場合、2021年分の確定申告は白色申告しかできません。

#青色申告のメリット
青色申告をする大きなメリットは、税制上の優遇が受けられる点です。特に大きいのが、一定の控除を受けられることでしょう。条件によって10万円、55万円、65万円のいずれかの控除が受けられます。控除が受けられると、収入からその額を差し引いた額が課税対象となるため、納税額を抑えることが可能です。たとえば、事業収入が100万円、経費が35万円で、65万円の控除を受けたとしましょう。すると、収入から経費と控除を引けば0円となり、税金が発生しません。控除を受けない場合は、収入から経費を差し引いて残った65万円に対して課税されます。

65万円もしくは55万円の控除を受けるには、複式簿記による帳簿付けを行うことと、貸借対照表と損益計算書を提出することが必要です。電子申告で確定申告するか電子帳簿保存をしている場合は65万円の控除が受けられ、そうでない場合は55万円の控除となります。10万控除では、申告方法や保存方法に決まりはありません。また、青色申告をした場合、事業ででた赤字は3年間繰り越すことができます。仮に、1年目は200万円の赤字、2年目は200万円の黒字になったとしましょう。この場合、1年目の赤字を2年目に繰り越して所得ゼロにすることが可能です。こうすれば、2年目も税金を払わずに済みます。

白色申告をした場合は、特に優遇措置はありません。

#青色申告のデメリット
もっとも大きなデメリットは、白色申告に比べて申告に手間がかかる点です。帳簿の知識がない場合、複式帳簿は難しいでしょう。ただし、会計ソフトを使えばあまり知識がない人でも帳簿付けが可能です。

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