• アルバイトと個人事業主本当はどっちが得?手取りやメリットを比較してみた!
公開:2023/07/20  更新:2023/07/10

アルバイトと個人事業主本当はどっちが得?手取りやメリットを比較してみた!

これから仕事を始めようとする人の中には、アルバイトとフリーランス(個人事業主)のどちらが稼げるのかわからない人もいるでしょう。これに関しては条件によってどちらがお得か代わるので、調べても自分の条件では結局どうなのかわからない人も多いです。そこでここでは、月収30万円の場合、アルバイトと個人事業主どちらがお得なのか解説します。

アルバイトと個人事業主で月収30万円ってどれくらい働くの?

アルバイト

まずアルバイトと個人事業主それぞれで、月収30万円を稼ぐにはどれくらい働く必要があるのでしょうか。アルバイトは一般的な時給換算で、個人事業主は経費を差し引いて月収30万円、それぞれ年収360万円として労働時間を算出しました。まずアルバイトに関しては、2023年6月の段階で東京都のアルバイト・派遣の平均時給が1,407円となっています。このデータをもとに月収30万円を稼ぐとすると、アルバイトの場合は月213時間弱働く必要があります。月213時間となると、1ヶ月の勤務日数を22日として、1日あたりの勤務時間は9時間〜10時間ほどが目安となるでしょう。

それに対して個人事業主の場合は、取り扱う業種によって時給も大きく変わります。そこで参考として、フリーランス人口の多いエンジニアを例に挙げると、平均時給は3,500円程度です。そのため大体月86時間程度、社会人と同じ1日8時間勤務だとすると10日〜11日程度の労働日数で済みます。ただ個人事業主の場合仕事内容によっては時給がアルバイトと変わらないこともありますし、作業効率によっても1時間あたりの報酬は変わります。そのため、個人事業主の場合は自分が取り扱う業種の報酬や自分の仕事のペースを把握したうえで、普段の月収から時給を算出してみてください。

アルバイトと個人事業主で手取りはどれくらい?

会社に雇用されるアルバイトと自分で仕事を獲得する個人事業主では収入から差し引かれる金額も異なります。それでは月収30万円を仮定してアルバイトと個人事業主で収入から差し引かれる金額はどれくらいか見ていきましょう。

#保険料
日本は国民全員に保険に加入することが義務付けられています。アルバイトと個人事業主では加入できる保険の種類が異なり、アルバイトなど給与所得を得ている人は健康保険・厚生年金・雇用保険、個人事業主は国民健康保険・国民年金に加入することになります。アルバイトの場合、健康保険・厚生年金に加入しないケースも存在します。月収30万円を稼いでいる人の場合は、1週間の労働時間が20時間以上などの条件を満たす必要がありますが、この条件を満たしている場合は当然アルバイトでも加入しなければいけません。また、年金に関しては厚生年金に加入すると自動的に国民年金にも加入することになり、年金を受け取れる年齢になると、国民年金+厚生年金分の年金が受け取れます。健康保険料と厚生年金保険料は報酬に応じて毎年支払う金額が決まり、支払いは会社と労働者で折半する仕組みとなっています。ちなみに2023年度の東京都の場合、月収30万円の人の健康保険料は約3万円、厚生年金保険料は5.49万円ですが、会社と折半するので実質毎月支払う額は4.3万円程度です。

それに対して個人事業主の場合は国民健康保険と国民年金を支払わなければいけません。アルバイトの場合は給与から自動的に社会保険料が差し引かれますが、個人事業主の場合は前年度の確定申告で申告した金額で算出した分の納付書が自宅に届くので期限までに支払いましょう。国民健康保険料は前年度の所得だけでなく住んでいる地域によっても変動します。ちなみに前年度の年収も360万円だとすると、東京都大田区に住む人の令和5年度分の国民健康保険料は年額364,103円となります。また国民年金保険料は毎年金額が改定されますが、金額は年収に関係なく一定です。令和5年度の国民年金保険料は月16,520円なので、1年間の国民年金保険料は198,240円となります。そして国民健康保険料と国民年金保険料の金額を合わせると、個人事業主は年間56.2万円分、月4.6万円程度の保険料を支払う必要があることがわかります。

#税金
アルバイトでも個人事業主でもお金を稼いだら必ず税金が課されます。月収が30万円の場合、アルバイト・個人事業主両方に課される税金には所得税と住民税が挙げられるでしょう。そしてこれらの税金の金額は収入から控除を差し引いた金額(所得)から算出されます。

それではまずアルバイト・個人事業主それぞれの控除額から所得を求めていきましょう。アルバイトでも正社員でも企業から雇用されて働いている人は給与所得控除の対象となります。この給与所得控除とは、社会で働くにあたって必要なスーツやカバンなどの備品の購入費用をある程度見積もり、それを控除として給与から差し引く制度を言います。個人事業主で言う経費のようなものと思っておくと良いでしょう。給与所得控除は年収から算出されます。月収30万円だと年収360万円、この場合の給与所得控除は360万円×0.3+8万円なので、116万円となります。先ほど算出した社会保険料も控除の対象であり、51.2万円分も所得から差し引くことができます。最後に基礎控除として48万円を差し引くと、年収360万円の人の所得は144.8万円。この所得に応じた税率を掛けることで所得税が算出でき、年収360万円の人の所得税は144.8万円×0.05(5%)で年額7.2万円、月額6,000円となります。

個人事業主の場合、稼いだお金は給与所得ではなく事業所得として扱われます。また個人事業主の場合青色申告を選択した方が控除額が大きくなることから、開業届を提出して青色申告を選択する人が多いです。この前提での所得は、360万円−65万円(青色申告特別控除)−48万円(基礎控除)−364,103円(社会保険料控除)で求められます。そして確定申告では1,000円より下の端数は四捨五入できるので、そうすると所得は210.6万円となります。所得が210.6万円の場合の税率は10%で、この場合97,500円の控除が受けられるので、年収360万円の個人事業主の所得税は210.6×0.1(10%)−9.75で11.31万円、月額9,425円です。

もう一つの税金である住民税は、所得割額+均等割額で算出します。所得割額は所得に応じて変動するものであり、算出方法は(所得-控除)×0.1(10%、市民税6%×県民税4%)-税額控除です。この公式はほぼ所得税の求め方と同じですが、住民税の場合基礎控除が所得税よりも5万円低い43万円となっています。また税率は一律で10%あり、年収360万円の場合のアルバイトの住民税の所得割額は360万円-116万円(給与所得控除)-51.2万円(社会保険料控除)-43万円(基礎控除)で149.8万円、これに0.1をかけて15万円と求められます。それに対して個人事業主の所得割額は360万円−65万円(青色申告特別控除)−43万円(基礎控除)−364,103円(社会保険料控除)で215.6万円、これに0.1をかけて21.6万円です。

均等割額は収入に関係なく一定額が課されるものであり、東京都の場合は個人都民税の税額は1,500円、個人区市町村民税の税額は3,500円を合わせた5,000円が課されます。そして先ほど求めた所得割額と均等割額を合わせた金額が住民税であり、アルバイトの場合の住民税は年額15.5万円で月額13,000円程度、個人事業主の場合は22.1万円で月額18,400円程度とわかりました。

#月収30万円の手取りはどれくらい?
それではこれまで月収30万円アルバイトと個人事業主の保険料や税金を計算してきましたが、最終的に1ヶ月の手取りはどれくらいになるのでしょうか。まずアルバイトの場合の保険料は月額4.3万円程度、税金は所得税が6,000円、住民税が1.3万円なので、合計6.2万円が差し引かれ、手取りは23.8万円となります。それに対して個人事業主の場合は保険料が月額4.6万円程度、所得税が9,400円、住民税が18,400円なので、月額7.4万円程度、手取りは22.6万円です。したがって、手取りだけで見るとアルバイトの方がお得と言えるでしょう。

年収360万、月収30万円なら結局アルバイトとフリーランスどっちがお得?

税金の比較

税金や保険料を差し引いた手取りだけを見ると月収30万円ならアルバイトの方がお得と感じるでしょう。しかし、フリーランスにも良い面はあり、両方の働き方を比較してどちらの働き方が良いのか検討する必要があります。

まず労働時間を考えると、アルバイトは1日9〜10時間働かなければいけないのに対し、個人事業主なら時給3,500円だとして1日8時間労働で10日〜11日程度の労働で済みます。一般的な会社員は8時間労働であり、アルバイトの場合月収30万円を実現するには世間一般の会社員よりも長時間働かなければいけません。それに対して個人事業主は職種にもよりますが、世間の会社員の半分の労働日数で月収30万円を稼げます。これを考えると個人事業主ならもっと働いて月収30万円以上を目指すことも容易でしょう。それに個人事業主は仕事で使うものを経費として計上することで所得を減らすなど工夫次第で手取りを増やすこともできます。このように効率よく稼ぎたい人には個人事業主がおすすめです。

将来受け取れる年金に関してはアルバイトの方が安心と言えるでしょう。個人事業主の場合は国民年金にしか加入できませんが、企業から雇用されているアルバイトなら国民年金だけでなく厚生年金にも加入できます。納めなければいけない保険料も大して変わりませんし、将来的に受け取れる年金の額も厚生年金に加入していれば当然増えるため、老後の経済面も安心できるでしょう。国民年金にしか加入していなかった場合、20歳から60歳まで年金を払い続けたとしても6.4万円しか受け取れません。そのため、個人事業主として働く場合は月収30万円よりももう少し稼いで貯蓄できる余裕を作ったり、月収30万円で生活するなら切り詰めて貯蓄分を確保したりと工夫が必要でしょう。

日常生活においては、アルバイトの場合基本的にはシフト制で毎日決まった時間に働きます。万が一急に休むことになれば代わりにシフトに入れる人を探さなければいけないことが多いです。そのためアルバイトならある程度強制力があり、生活リズムも崩れにくく健康的な生活を遅りやすいでしょう。個人事業主は自由度が高く、友達と遊ぶなどの予定も入れやすいです。ただ自分で時間や仕事量を管理しないとだらけて月収30万円を稼げなくなってしまいます。

このようにアルバイトと個人事業主それぞれの月収30万円の生活は大きく異なり、どちらが良いとは一概には言い切れません。そのため、自分の生活スタイルや性格などをよく考慮して、自分に合った働き方を選んでください。

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